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保育士の仕事&キャリア

2024.09.17 更新

保育の現場で役立つ!保育士のための感染症予防ガイド-前編

子どもたちが集団で過ごす保育園・幼稚園は、飛沫や接触による感染症の流行のリスクが高い環境です。予防と早期発見に努めることが大切な感染症対策。保育の現場で働く保育士さんに向け、感染症の予防において大切なポイントをまとめました。

季節の変わり目、特に春と夏が要注意!

入園や進級のシーズンである春は、子どもたちの環境が大きく変わる時期です。環境の変化によるストレスや他の子どもとの接触で感染症にかかりやすくなってしまうシーズンでもあります。

また、夏も急激な気温や湿度による体の不調からくる免疫低下で、食中毒・ウイルス性の咽頭炎などの感染症リスクがある時期です。

寒くなると暖房のため換気が悪くなるなど、集団で過ごす保育現場は常に感染症拡大のリスクにさらされています。コロナを経て日常的な感染症対策がひろがってはいますが、あらためて保育園で発生しやすい感染症の予防と対策について確認してみましょう。

溶連菌感染症

子供がかかりやすい病気の代表例としてよくあがるのが、溶連菌感染症です。溶連菌感染症の原因となるのは溶血性連鎖球菌という細菌の一種で、感染するとのどの痛みや発熱といった症状を引き起こします。

ただし、3歳児未満の場合は発熱が見られないケースも多く、一見すると風邪と見分けがつかないことも多いので警戒を怠らないようにしましょう。重症化すると心臓弁膜症を発症することもあるので、感染が確認できた場合は医療機関の受診が必用です。

潜伏期間

2~5日

症状

のどの痛み、38度以上の高熱、手足を主とした発疹、頭痛、腹痛、リンパ節の腫れ、いちご舌

対処・予防

溶連菌感染症は飛沫や接触からも感染が拡大していくため、感染した園児は登園することができません。保育中に感染の疑いが見られた児童はすぐに別室や保健室に移動し、保護者の方にお迎えにきてもらいましょう。

お迎えのあとは保護者の方に病院での受診をお願いし、5〜10分でできる迅速検査で感染の有無を確認してもらうよう伝えてください。

麻しん(はしか)

はしかは極めて感染力が強いため、免疫のない人に感染を広げてしまう恐れがあります。接触感染や飛沫感染で感染が拡大するので、保育園児や保護者の感染がわかったら早急な対応が必用です。

また、はしかは予防接種で感染を大きく抑制できる病気です。保育園児が予防接種を受けているかをあらかじめ確認しておくことも大切です。

潜伏期間

8~12日

症状

咳、鼻水、38~40度の高熱、目やに、目の充血、口内や体に白い斑点が出る

対処・予防

麻しん(はしか)の感染が疑われる場合は、すぐに児童を保健室や別室に移動して隔離することが重要です。その後、保護者へ連絡を入れ、すぐにお迎えに来てもらい医療機関を受診するよう指示してください。

麻しん(はしか)の診断が確定したら、地域の保健所へ連絡をとります。また、保育園内で拡がることを防ぐには、麻しんにかかった人の隔離と免疫のない人にワクチン接種などを行う必用があります。

麻しん(はしか)は現在予防接種での定期接種に指定されており、ほとんどの園児が予防接種を受けているものと思われます。生後6カ月までの園児については、母親の麻しんワクチン接種や罹患歴があれば母親から免疫をもらっていて、感染の可能性は低くなります。

感染を確認した場合、保護者への母子手帳の確認依頼など保育園全体での迅速な対応が必用になります。前もって麻しん(はしか)発生時の連絡体制を確認しておきましょう。

参考)国立感染症研究所 麻しんQ&A
https://www.niid.go.jp/niid/ja/2014-02-19-09-27-24/655-disease-based/ma/measles/idsc/3703-measles-qa04.html#Q4-02

風疹

風疹は、飛沫感染や接触感染で拡がります。原因となるのは風疹ウィルスですが、手洗いやマスクの着用など基本的な感染症対策で予防できます。

ただ、赤い発疹といった特徴的な症状がなくても感染力があり、気づかないうちに感染が広まってしまうことがあります。子どもが感染しても、症状は比較的軽く済みますが、潜伏期間が長いのが特徴です。

風疹は、妊娠中の女性が感染すると赤ちゃんに先天性の障害が生じる恐れがあるため、風疹の感染が確認できた場合は保護者を含めた注意喚起をしましょう。大部分の人が予防接種により一生風疹にかからない免疫を獲得できますが、接種のチャンスがなかった世代(昭和37年~昭和53年生まれの男性)や予防接種を受けていない人は注意が必用です。

潜伏期間

14~21日

症状

咳、関節痛、38度前後の高熱、赤い発疹、目の充血、リンパ節の腫れ

対処・予防

風疹は感染後の特効薬がありません。対処療法でケアしながら回復を待つことになります。風疹の疑いがある園児には、脱水症状を避けるために水分を十分に与え、高熱がある場合はしっかりと頭を冷やしてあげましょう。

現在は、風疹の予防接種は定期接種となっています。もし受けていない場合は保護者に接種を勧めてください。主な感染経路は飛沫感染や接触感染なので、手洗いうがいマスクなどが予防として有効です。

水ぼうそう

水ぼうそうは水痘・帯状疱疹ウィルスを原因とする冬の終わりから春にかけて流行しやすい感染症のひとつです。感染力が高く、保育園全体に広がるリスクもある病気の一つです。

水ぼうそうは主な症状である発疹がでてから一週間ほどで落ち着きますが、発疹を放置していると二次感染を起こして化膿したり、最悪のケースでは敗血症を発症してしまうため、決して放置せずに医療機関の受診を勧めましょう。

ただし、水ぼうそうは現在では予防接種の定期接種が定められている病気でもあり、以前に比べると感染数は大きく減少しています。

潜伏期間

10~21日

症状

全身の水ぶくれ、頭痛、発熱、倦怠感、食欲減退

対処・予防

水ぼうそうの特徴的な症状は、1mmから4mm程度の水ぶくれのような発疹です。放置していると、赤く腫れていた水ぶくれが透明や黄色になり、水ぶくれが破れて出る体液に触れることで保育士や他の園児たちに感染が拡大します。

水ぶくれは最初に頭や顔に出ることが多く、よく観察していると早期発見につながります。水ぶくれは強いかゆみを伴い、我慢できずに掻き破ってしまうケースがほとんどです。

水ぼうそうにかかった園児が出た場合、使用していたタオルや食器といったものに他の園児が触れないよう細心の注意を払ってください。また、水ぼうそうは接触や飛沫以外にも空気感染することもあるので注意が必要です。

風疹と同様に妊娠中に感染すると赤ちゃんに先天性障害をもたらしてしまう原因となるため、もし感染が確認された場合は予防接種の有無をすぐに確認するようにしましょう。

まとめ

溶連菌感染症、はしか、風疹、水ぼうそうといった保育園で注意が必要な感染症の予防や対策についてご紹介しました。

続く後編では、ヘルパンギーナ、咽頭結膜炎(プール熱)、ヒトメタニューモウィルス感染症、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)など近年話題にあがったり、子どもの感染症としてよく耳にする4つの疾患についてご説明します。

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